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会員からのメッセージ地震災害に接し思うこと



地震災害に接し思うこと

日本技術開発(株)
尾儀一郎

 平成20年5月12日中国四川大地震の第一報を会社のデスクで聞いた。マグニチュード7.8、震源深さ10kmの知らせに、大きな被害になるかもしれないと同僚と危惧した。その後、目にした光景は想像をはるかに超えるもので、被害状況については既にご存じのとおりである。
 しかし、この時はまだ、被害の甚大さに比べ自分のこととして捉えられきれていなかったのが偽らざるところであった。
 その整理もつかないさなか、平成20年6月14日、土曜日、今度は休み中の9時前、まだ覚めやらぬ目でテレビを見ているさなか東北地方で震度6強の強い地震のテロップが飛び込んできた。反射的に頭の中で阪神・淡路大震災と比較してみる。多少の被害が出るなと予想はしたが、中国四川大地震を連想する大規模な斜面崩壊等これほどの惨状になるとは思い至らなかった。
 M7.2で規模こそ兵庫県南部地震のM7.3を若干下回る程度であるが、震源深さが8kmと浅かったことが、被災要因の一つかもしれない。
 ところで、阪神・淡路大震災を契機に各種耐震基準の見直しが行われ、多くの局面で耐震化が鋭意進められているところである。今年は、その13年目にあたる。もう、随分時間が経過したようにも思うが、まだ、始まったばかりともいえる。
 その間、主な地震だけでも、平成12年(2000年)鳥取県西部地震(M7.3)、平成13年(2001年)芸与地震(M6.7)、平成15年(2003年)十勝沖地震(M8.0)、平成16年(2004年)新潟県中越地震(M6.8)、平成19年(2007年)能登半島地震(M6.9)、平成19年(2007年)新潟県中越沖地震(M6.8)と実に多くの地震にみまわれている。こうしてみると、兵庫県南部地震規模の地震は日本中いたるところで頻繁に発生し得ることを改めて実感する。
 人間の記憶は高々3代、100年程度で更新されてしまうため、その時々の人にとっては、社会情勢の変化や、発生場所の違いにより初めての経験となることが多いようであるが、自然の営みは休むことなく継続しており、しかも、繰り返されていることが判る。
 一方、現在においては地震災害に関する多くの情報の蓄積や分析が行われており、講ずべき対応策についても英知を結集することができることと思う。ただし、地震防災により「安全・安心」を手に入れるためには、多くの労力と歳月が必要であろう。また、市民の協力も不可欠と思う。
 地球の営みに合わせるのは無理としても、世代を超えた発想で目標をたて、達成に向けてたゆまぬ努力を継承していくことが大切なことであると実感する。


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