関西ライフライン研究会 HOME
LiNKの概要 入会のご案内 お知らせ 会員からのメッセージ 会員報告 出版物 活動報告(会員用) リンク

会員からのメッセージJR西日本での地震対策の取組みについて



JR西日本での地震対策の取組みについて

JR西日本 鉄道本部 施設部 土木課 岩橋 寛臣

 JR西日本では、地震対策としてソフト・ハード両面から対策を行なっています。今回はみなさまにソフト面の取組みについてQ&A形式でご紹介したいと思います。

  • 鉄道では、これまでにどんな対策を実施しているのですか?
    【新幹線】
     山陽新幹線では、開業時から、鉄道沿線に地震計(以下沿線検知点という)を設けています。現在、おおむね20km間隔で23箇所整備しています。その後、平成8年度には、海洋プレート型の地震を想定して、震源に近い海岸に地震計(以下海岸検知点という)を設けました。現在、山陽新幹線を取り囲むように10箇所整備しています。
    【在来線】
     国鉄時代に、おおむね40km間隔で沿線検知点を約60箇所整備しました。現在は更に安全性を向上するために約80箇所に増設しています。
  • 地震計の間隔は、どうして決めているのですか?
     鉄道の構造物に被害が出る地震動は、過去の記録から120gal程度と推定しています。鉄道の沿線に、地震計を隙間なく並べると120galで列車を停止させればよいのですが、現実的ではありません。また、地震動は、距離が離れるに従い、低下(減衰)します。そこで、40km間隔で地震計を設置し、40galの地震動で列車を停止させる仕組みとしています。
  • 海岸検知点と沿線検知点は何がちがうのですか?
     両方とも地震被害の恐れがあると判断した場合に列車を停止させることが目的ですが、海岸検知点と沿線検知点の違いは以下のとおりです。
     海岸検知点は、地震動のP波(初動の縦揺れ)から地震の規模(マグニチュード)と震央までの距離を推定し、鉄道に影響がある地震なのか、そうでない地震なのかを判定します。より早く判定し、列車を停止するために、震央に近い海岸に検知点を設置しています。現在、気象庁と鉄道総合技術研究所の共同開発成果から、地震動を検知して約2秒で地震諸元を推定する地震計を使用しています。
     沿線検知点は、その場所の地震動を直接測定し、列車を停止するために設置しています。なお、新幹線の沿線検知点には、P波による地震諸元推定機能が付加された地震計を設置しています。
  • 走行している列車は、どのようにして止めるのですか?
    【新幹線】
     鉄道に被害があると判断した場合や、あらかじめ定める揺れ以上を検知した場合に、警報信号を変電所等に送信し、変電所からの送電を停止させ、列車を停止する仕組みです。
    【在来線】
     大きく分けると京阪神エリアとそれ以外の2通りの仕組みがあります。京阪神エリアでは、地震計があらかじめ定める揺れ以上を検知した場合、自動無線の地震発生音声により、列車運転士が列車を停止させます。京阪神エリア以外では、地震計があらかじめ定める揺れ以上を検知した場合、指令員の無線放送により、列車運転士が列車を停止させます。
  • 緊急地震速報は、鉄道でも利用しているのですか?
     平成19年度より在来線全線で利用しています。緊急地震速報により、鉄道被害の恐れがあると判断した場合は、自動無線の地震発生音声により、列車運転士が列車を停止する仕組みとしています。
  • これからの取り組みを教えてください?
     今後更なる安全を確保する取組みとして、新幹線、在来線の地震計増設と新幹線への緊急地震速報の導入を考えています。
     地震計の増設は、直下型地震を少しでも早く検知し、列車を停止させることにより被災箇所への列車進入防止と地震発生後の線路巡回の迅速化が可能となります。新幹線では、沿線検知点を20箇所、在来線の京阪神エリアでは15箇所の地震計を増設します。平成22年4月までに運用を開始する予定です。
     新幹線への緊急地震速報導入は、気象庁が東南海地震の想定震源域の海底地震計を緊急地震速報に活用すると発表したことを受け、海岸検知点より早く地震推定情報を取得することが可能となったため、平成22年度中に導入する計画です。

     鉄道では、地震が発生した場合に、お客様の安全を第一に色々な取り組みを実施しています。今回は、その一部を紹介しました。平成7年の阪神淡路大震災から15年を迎えますが、「災いは、忘れた頃に来る」「自然を侮るなかれ」を教訓に、地震対策を地道に取組み、より安全で快適な鉄道を目指します。

[会員からのメッセージトップへ戻る]

Copyright © 2001-2005 関西ライフライン研究会, All rights reserved.