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LiNKの目的(発足趣意書)

 

「関西ライフライン研究会」発足趣意書

 

 世界有数の地震多発国日本では、地震防災はきわめて重要ですが、近年における全国規模での都市化の進展とともに、都市の地震防災が中心的な課題となってきております。過去40年余にわたる耐震工学の成果と現実への適用の蓄積により、わが国の都市は以前よりはるかに耐震的になった面も多くありますが、都市の巨大化とそれによる都市構造の複雑化は、一方では都市を地震に対して脆弱なものとする危険を常にかかえています。都市をネットワーク状に覆い、都市活動に欠かせない種々のサービスを提供する、電気・ガス・上下水道・道路・鉄道・通信などのライフライン系の耐震問題も、このような観点から関係者の強い関心が持たれている課題の一つです。これまでライフライン系の地震防災対策のため、ライフライン事業者の手によって、種々の努力が払われてきましたが、近年の地震被害が東日本に集中していたことなどの事情もあり、活動の重心は関東地域を中心とする東日本にあったように思われます。

 関西では、関東地域と比較して地震活動が活発ではないという認識が一般的であり、関西地域の地震防災意識は高いとは言えません。確かに関西では軽震(震度Ⅱ)・弱震(震度Ⅲ)を日常感じる機会は少ないですが、歴史的な統計で見ますと、強震(震度Ⅴ)・烈震(震度Ⅵ)の発生割合は関東と関西では、大きな変わりはありません。明治以降を見ても、濃尾地震(1891,M=8.1)・姉川地震(1909,M=6.9)・北但馬地震(1925,M=7.0)・北丹後地震(1927,M=7.3)・河内大和地震(1936,M=6.4)・東南海地震(1944,M=7.9)・南海地震(1946,M=8.0)・日高川地震(1948,M=6.7)・福井地震(1948,M=7.1)・吉野地震(1952,M=6.8)・北美濃地震(1961,M=7.0)など、マグニチュードが7クラスの地震が平均して5年に一度は発生している勘定になります。また、地震の発生源である活断層について言えば、六甲・有馬・高槻断層があるために、関西での大地震発生の危険性を無視できないことを指摘する専門家の声もあります。問題は、戦後40数年にわたり、関西では南海地震後の静穏期を過ごしたという幸運に慣れ過ぎている傾向が強いことにあると考えます。関西の大都市圏も、いずれ来るべき地震被害への備えを十分に整えておくべきことは関東と同様と考えられます。

 一方、その沿岸あるいは背後に大阪・京都・神戸などの大都市圏をひかえる大阪湾沿岸は厚い堆積層に覆われており、地震時に揺れ易い地盤特性を有するとともに、最近のロマプリエタ地震・フィリピン地震でも大被害の原因となった液状化現象が発生し易い条件下にあり、ベイエリアの開発において特別の対策を必要としている状況にあります。

このような関西地域の地震環境・地盤特性に対応して、地域に適合した耐震技術・地震防災対策を考えることは極めて重要と思われます。土木学会関西支部では、平成元年度と平成2年度にわたって「都市地震防災からみたライフライン系の相互連関と災害情報システムに関する調査研究委員会」(委員長:京都大学防災研究所教授・亀田弘行)を組識して、官・民・学のメンバーが協力して調査・研究に当たってきました。その成果は平成3年11月27日に土木学会関西支部講習会として地震防災に興味のある関係者に報告されました。

 上記委員会の活動は既に終了していますが、関西における地震防災に関わる課題は終わった訳ではなく、逆にこれからが本格的なスタートであるとの認識が委員会参加メンバーの一致した意見です。そこで、さらに幅広い官・民・学のメンバーの協力を得て、継続的な情報交換・相互啓発の場として、「関西ライフライン研究会」(任意団体)を発足させる運びとなった次第です。この研究会では以下のような内容の活動が考えられています。

1.関西の地震環境・地盤特性・ライフラインの耐震・都市地震防災などをテーマに官・  民・学のメンバーが気軽に意見交換をできる場を提供して、参加メンバーの技術・知識向上と関西地域の地震防災への寄与をはかる。
2.隔月の定例研究会(話題提供と意見交換)・年次総会・見学会・成果物の刊行(年次報告書)などの活動を行う。
3.研究会の運営は参加メンバーの会費(法人会費・個人会費)により賄って、任意団体の形式とする。
4.参加メンバーは大学・地域行政・ライフライン事業者・建設業・管材メーカー・コンサルタントなどとする。
5.研究会には、座長・幹事長・幹事・会計監査・事務局などを置く。

 上記趣旨をご理解の上、出来る限り多くの皆さんの参加を戴きますようお願い申し上げます。

平成3年12月

  呼びかけ人

京都大学防災研究所都市耐震センター教授・亀田 弘行
神戸大学工学部助教授・高田 至郎
建設省近畿地方建設局道路部道路管理課長・松園 学
大阪府立消防学校教頭・島田 耕一
大阪市計画局計画部長・井越 将之
西日本旅客鉄道株式会社取締役建設工事部長・星野 鐘雄
関西電力株式会社建設部長・後藤 浩一
大阪ガス株式会社供給部供給技術センター所長 ・表  哲夫
中央復建コンサルタンツ株式会社取締役企画室長・朴 性辰(改め慶智)
 

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